帰郷

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 私は中国とお付き合いを始めて以来、年に2回の正月を過ごすようになった。おめでたいことだから年に2回あって歓迎だが、最初のうちは正月の後にまた旧正月(春節)だと、なんか泡の抜けたビールのような気がしたものだが、慣れてしまえば春節も正月らしくてこれもまたいいものです。
 もっとも中国、台湾、韓国、ベトナム、香港、シンガポールみな春節を盛大に祝うので、日本の正月の方がマイナーになってしまう。
 しかも、今年の春節は2月3日で折よく節分、翌日の立春と重なるのでこれまためでたい。世界で最も広く使われている太陽暦カレンダーもいいのだが、農耕民族には季節感がともなう太陰暦の方がより生活に密着しているので、こちらも捨て難く、私は2つの暦を活用し、年2回のお正月を楽しんでます。
 中国ではこの春節40日間に、交通機関を使って移動する人が28億5千万人と過去最高になる見通しで、まさに民族大移動です。昨年10月にオープンになった上海虹橋駅の広大さに驚いたが、あの大きな駅でも収容できないほど人があふれるのだから実に恐れ入る。この人口の多さは、今の中国エネルギーの象徴でもあり問題でもある。とにかくどこでも人人人。
 彼らにとって春節は1年の中で最大のイベント、都市部に出稼ぎにきた工員たちは、春節の帰郷を胸に秘めてがんばっているわけです。
 しかし、中には稼ぎの預金が少なくて帰郷できず、都市部でさびしく春節を迎える人たちもいます。最近の若い世代にこうした帰郷しない「恐帰族」が急増していると聞きます。もちろん彼らも、たとえ交通手段にまるまる2日間かけてでも帰りたいのですが、手ぶらでは帰れないわけです。汽車の切符の入手が難しく、ダフ屋によって高値となり、そのうえ家族へお土産と親族へのお年玉(紅包)のお金を用意ができないため、帰郷しないで我慢しているわけだから、こんな辛いこともない。
しかも面子社会ですから、帰らないと「恐帰族」の役立たず者の家族として隣近所に「対不起」で面子が立ちません。いやはや、故郷は遠きにありて思うもの、帰るのも大変、帰らなくも大変、そして悲しくうたうもの。
 中国よ、彼らは中国のGDPを世界2位に押し上げた金の卵なのですから、もっと大切にしてあげなければいけない。
 さて私の春節ですが、今年もお土産とお年玉を持って、台湾と大連で過ごす予定でいます。一昨年は瀋陽、昨年は上海、来年は天津にしようかなと考えてます。

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このページは、三休が2011年1月20日 00:59に書いた記事です。

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