安芸の宮島

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 当地ニューヨークは今年に入って一日だけ雪がぱらついた程度で、毎日10度前後のおだやかな日々となっています。今日などは気温が16度まであがり、おそらく最高記録を更新するかと思います。
 一方、中国内モンゴルの満州里では、春節に零下44.9度となり観測史上最低を記録したとのことです。マイナス45度の寒さになると、冷蔵庫の中に逃げ込んで生活するのだろうか。
 たまたま前回の出張時に満州里から留学に来たモンゴル人の女性と知り合いになった。私が日本でモンゴル人と知り合いになったのは、
白鵬と握手を交わした以外これが初めてとなる。彼女は昼間学校に行き、その後どこかでアルバイトをし、夜は上野のバーで働いているという。そうでもしないと日本で生活して行けないとのことだった。
 私は知人から彼女のお店に行って応援してくれと頼まれ、知人と一緒に飲みに出かけてきた。彼女はモンゴル人特有の分厚い丸顏で、美人ではないが迫力のある可愛い顏をしていた。服装は冬に似合わない真赤なミニドレス、たぶんこれくらいしかドレスが無いのだろう。彼女の真面目さが水商売に合わないためか、お客がつかず売り上げがないため、何軒かの店を首になって、この店で働き始めて2日目とのことでした。
 彼女は私の知人を見るや、来てくれてありだとうを連発し、嬉し涙を流していた。目の腫れぼったさはよく泣くからかも知れない。とにかく感情が激しくお店を出る時も外まで送ってくれて、これが今上の別れかの様にぼろぼろ涙を流していた。こんな純朴な娘が上野のバーで働いているのかと思うと、気の毒でこちらまで胸が痛くなってきてしまった。
 日本に来て初めて憶えたという、水森かおりの「安芸の宮島」を、説明付きで唄ってくれた。日本の生活に馴染めず、日本語もできず、お金もなく、故郷にも帰れず、極度のホームシックにかかり、夜明けの公園で泣きながらベンチに座っていたら、散歩にきた見知らぬおばさんが、「負けてはだめよ」、「頑張らなければだめよ」と、やさしく声をかけてくれ、彼女のつたない日本語を忍耐強く聞きながら、この歌を教えてくれたとのことです。
 そしてこの歌が日本で活きて行く原点になったとのこと、、、


  ひとりで旅する おんなの背中
  泣いているよに みえますか
  安芸の宮島 朱色の鳥居
  胸の痛みを わかってほしい、、、

 なぜ「安芸の宮島」なのかは知りませんが、時に歌もいいものです。神々が住む島と崇められる宮島は、海を鎮める平家一門のシンボルでもあります。今年は平清盛ブームだといいます。彼女も宮島の幸に巡り逢えるといい。それを祈りたい。

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このページは、三休が2012年2月 2日 00:11に書いた記事です。

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