桜は八分咲きがいい

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IMG_0700.jpeg 粗忽者の福とでもいうのか、19日は成田でなく上野に一泊となり、翌早朝は京成上野駅から成田空港に向かう事になった。
 2つのスーツケースを引きずりながら京成上野駅まで行くと、なんと上野公園の桜が八分咲きになっていました。今年は桜を見ずに帰るものと思っていたら、史上2番目の早咲きとのことでした。自己中の私は、上野の桜が私の帰りに合わせて咲いてくれたかと感動してしまった。
 3.11震災の後、公園入口の同じ満開の桜に話しかけ、「やはり今年も咲いたか、でも今年は愛でずに行くよ。ごめん」と、自粛して通り過ぎて帰ってきことを思い出した。
 あれから2年、今年は素直に「ありがとう」が言えた。

   さまざまな こと思いだす 桜かな (芭蕉)
 桜は八分咲きがいい。二分を残しておけば散る事もない。

 今回はとんだことから母校の高校OB総会での記念講演を依頼されて、六分咲きくらいでどうにかお役目を果たしてきた。
 演題は「寅さん〜文化と文明の狭間で〜」としました。
 ここでも粗忽者でして、前日に演台をチェックしたのですが、当日はその演台でなく、マイクが固定されていて原稿を置く場所がなく、無理に置くと天井からのライトの反射で原稿が読めないことに気がついた。この時点でどうしたものかと冷や汗(ーー;
 もう待ったなし、講演のプロでもない私が原稿を見ずに格好よくできるわけがなく、一瞬弱気になったが、ここで腹を決め、文章を読まずに文章の位置だけを頼りに、間を入れず1時間20分ほど一気にやってしまった。
暗記ではなく念読で押し切った間抜け講演でして、後から考えてもよくやれたものと再び冷や汗でした。
 そんな粗忽な寅さんの背に、上野の桜が「これからも無理せず八分咲きで行きゃあいいさ」と、見送ってくれているようだった。
 明日から新しい歳を迎える。これからこの日を感謝祭としたく思う。
   桜狩り 奇特や日々に 五里六里  (芭蕉)

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このページは、三休が2013年3月25日 01:25に書いた記事です。

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