天空の城 タ・プローム

| コメント(0)

IMG_3475.jpegIMG_3467.jpeg アンコール遺跡群で最も印象的だったのはタ・プローム遺跡でした。
 12世紀にアンコール王朝が仏教寺院として建てられ後に、それを土台にヒンドゥー寺院に改修された遺跡です。14世紀後半に王朝が陥落とともに熱帯密林の中に放置され忘れ去られ、400年後にフランスの宣教師が密林の中で崩れ荒れ果てた遺跡を発見することになりました。遺跡はガジュマル樹が破壊を護るかのように絡みつき一体となった神秘的な様相を呈していました。

IMG_3473.jpeg 私はこの自然の驚異にどこか見覚えがあると思いましたら、ガイドさんの説明で「天空の城ラピュタ」のモデルになったということでした。もしそうでしたら、この神秘的な様相を見て「天空の城ラピュタ」を着想する宮崎駿氏はやはり天才です。
 アンコール王朝の多くの遺跡群のなかで、このタ・ブロームは遺跡とならずカジュマル樹の根気が護蛇の如くに絡まりついて大生命の神秘さを今日に伝えていました。カジュマルの語源は沖縄で「絡まる」「風を守る」からきていると言いますが、まさに遺跡に絡まりついて風化から護ってました。私はこの宇宙大生命の躍動に大きな感動を覚えました。
 遺跡は現在インド政府の支援で修復作業が進められていますが、その過程で一つの躊躇いがでてきました。遺跡に絡まる巨木の根気は、果たして遺跡を破壊させているのか、それとも精霊の木として支えているのかということです。ヒンドゥー教三大神の
シヴァ神は、宇宙の寿命が尽きた時に世界を破壊させて再生を司る神とされています。私はクメール(カンボジア)王国の再生と重ね合わせシヴァ神の働きとして後者を選択しています。この遺跡はこのまま大自然の采配に任せれば善いです。
 ポルポトのクメール・ルージュは、僧侶を殺戮し寺院を破壊しこの近辺にたくさんの地雷を埋めましたが、さすがに遺跡だけには手をつけませんでした。彼らの潜在意識が
遺跡に祀ったシヴァ神を恐れたのだと思います。そして、かろうじてこの国の再生へ一抹の光りが残りました。IMG_3461.jpeg

コメントする

月別 アーカイブ

この記事について

このページは、三休が2014年8月24日 22:20に書いた記事です。

ひとつ前の記事は「アンコールワット」です。

次の記事は「逝きし世の面影」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。