真人生の創造

9784569821023.jpeg 「真人生の創造」- Creation of a true life -2015年4月PHP刊)、久しぶりに天風先生の講演録が出版されました。
 天風先生77歳から91歳までの全国各地で講演された14の収録を書き起し、「理想的な人生のあり方」、「生きがいについて」、「心とは」、「生きる心構え」、4章に再編集したものです。
 「真人生の創造」とは素晴らしい命題です。本書はおもに公開講演を編集したので初心者向けの入門編になっています。落語でいえばマクラでして、本題の"How to do"の実践まで言及していません。その意味で長年の研鑽者にはもの足りなさがありますが、これはこれで私たちを初心の原点の立ち還らせ、新しい気ずきがたくさんあり十分に楽しめます。終戦直後のアメリカ占領軍(GHQ)やロックフェラーとの面談のくだりは本書の佳境になります。
 また同時に本書は一貫して「修練は目的ではない」と述べていて、読んでいて身が引き締まる思いです;

 「朝早く起きて、各々集まるとこへ集まって、30分、1時間と修練をして尊い時間を費やし、別れてみな違った生活に行きますと、知らず知らずの間に『朝もうやったからいいんだ』という気分でもって一日を過ごす人がないともかぎらん。むしろそうする人が多いじゃなかろうかと、非常に懸念するのです」。
 「特に私がお勧めしたいのは、どんな場合があっても、一旦こういう修養道に志した以上は、それを緩めたり、あるいは元に戻したりするようなことがあっては、これは甚だしい自己冒涜であります」
 天風真理を実行すれば「今までの自分と比べて、自分ではっきりわかるような自分の優れた人生を感じます」、「そのときだ。真理に足を踏み入れた以上は、自己の人生のためだけに生きるということをやめてほしいんであります」
 そして本書の最後は、今日の戦後レジームからの脱却を予言しているかのように;
 「修練会をするために諸君の人生が与えられたんじゃなく、波瀾万丈の人生に生きるときの強い力、精神力・肉体的にこれを乗り越えていく力をつくり上げるのが修練会の目的であった」。
「残念ながら、戦後の日本が、まったく思いもかけないほど上辺も中味も腐りかかっている今日、天成るかな、諸君が選ばれし人でこの真理を授けられて(中略)今までとは違った武装が、精神生命にも肉体生命にもできたんだから、それを手本に、迷える人、泣いてる人、苦しんでいる人に救いの慈悲の手を差し伸べてやって、終始自分の存在を光りあらしめたいことを、本当に心から世の中のためにお願いします」と、結んでいます。
 修練の初心に立ち戻り心したいものです。編集者の意図もここに集結しているようです。

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このページは、三休が2015年3月29日 02:03に書いた記事です。

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