2016年12月アーカイブ

 クンバハカ法について真摯な方から質問をもらいました。
「私のやり方が間違っていたようです。クンバハカをやってみました。一生懸命やりました。しかし、頭痛がするようになり、神経に異常をきたすようになりました。肩がすごく凝ります。肩を落とす、が、力が入っているようにおもわれます。お腹に力を入れるのも、よくわかりません。力むとかいきむ、とはちがうのでしょうか。また、連続して5百回ぐらいしてみました。ちょっとマズかったと思っています。いまいちどくわしくおしえていただけませんでしょうか」。

 この質問を読みまして、クンバハカ法を対しての生真面目さに敬意を表しながらも、天風先生の講演にあったお見合いの話しが頭に浮かんできてついつい笑ってしまいました。お見合いをした女性が、見合いの間に天風先生の教えの通りウンウンと力みながらクンバハカをしていましたら、先方がこの女性は精神疾患か癇癪持ちなのではと誤解されて破談になった話しです。クンバハカ法もこうなると本も子もありません。

 クンバハカはそう難しいものではありません。以下は自己流ではありますが、私の考えるところです。
 クンバハカには「自然クンバハカ」、「相対クンバハカ」、「絶対クンバハカ」の体勢があります。

 *「自然クンバハカ」<肛門の締まり具合30%>
 本来、生きている人間でしたら意識しなくも肛門は締まっています。自然クンバハカはその締まっている肛門を起点にして意識的に30%ほどに維持することです。肛門の締まりを無意識か意識するかで大きな違いとなります。
 この意識をどのように自覚化するかのコツとして、両手の小指を丸くして締めると肛門が締まり肩の力が抜け、両足の親指を曲げるようにして締めると肛門も締まり下腹に気がこもります。
 両手の小指の上からと足の親指の下からの力が下腹に合流して自然クンバハカ体勢になっています。これを繰り返して熟練すれば4本指のうち1本でも軽くしめれば自然にクンバハカ体勢が持続できてきます。先ずこの姿勢が自然体になるまでが練習となります。
 はじめは意識して肛門を30%ほど締めていますと、3週間もすれば意識しなくも30%を維持できるようになります。習慣は第二の天性です。そして通常はこの姿勢で生活すればよいわけです。

 *「相対クンバハカ」<肛門の締まり具合60%>
 相対クンバハカは外界からの強い刺戟、衝撃、ストレス等に対してのクンバハカ体勢です。
 外界からの刺戟に相対して自然クンバハカ体勢の度合いを30%から60%くらいに締め上げます。状況によっては80%くらいまで締めて身構えてゆきます。
 呼吸をしつつクンバハカのコツである両手の小指をさらに丸くして締め、両足の親指をさらに力をこめ下腹に気がこもるように集中させます。これを瞬時に自然クンバハカから相対クンバハカになるようにするには、やはり日常のクンバハカ練習となります。

 *「絶対クンバハカ」<肛門の締まり具合90%UP>
 人生の生死にかかわるような非常時に、瞬時に肛門、肩、下腹、4本の指を、同時にグッと締めて息を止めます。この時に眉間に意識を集中させて対処します。 (参考:山田務名著「天風道八十年」)

 たぶん質問された方は、いきなり「絶対クンバハカ」の練習をされたのだと思います。しかも、これを5百回もやりましたら酸欠を起して神経に異常をきたしてしまいます。
 実は私もつい先日の事ですが、実験的に絶対クンバハカの体勢で統一体操をやってみましたら、急激に血圧が上昇し、頭がクラクラしてしまいました。クンバハカで頭の血を下げるところなのに逆効果でした。

 そこで先ず、クンバハカ体勢が自然体になるまで、焦ることなく一つ一つの動作を地道にコツコツと繰り返し実行してゆくことです。最初のうちはクンバハカを忘れてしまい肛門が締まっていないことに気がついたらすぐに締めるようにします。肛門がゆるんでいと思ったら、すぐ締めればよいわけです。初めはなかなか思うように行きませんが、折りあるごとに練習を繰り返えすことで習慣化してきます。常日頃からクンバハカを心がけ、ちょいと立つ時にも電車やバスに乗る時も降りる時も、歩いている時も折にふれこの体勢でやるようにしていきますと、ついには何時でも、どこでも臨機応変にクンバハカができるようになります。そうしますと常に落ちついた気分になり感情を制御することができ、これまでのようにやたらと感情や感覚に引きずり回されるようなことが少なくなります。方法は単純ですが、何時でもどこでもいざという時、瞬時にこの体勢をとれるまでには、やはり3ヶ月から半年の練習が必要となります。
 天風先生は「折りにふれ、時にふれ、いな、むしろ常に2秒でも3秒でもよいから、習得した通りの方法で無邪気に実行するがよい」と説示しています。