06. 火の巻

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 火の巻  潜在意識の更改

 <潜在意識とは>

 潜在意識には生命の進化の過程で遺伝子に記された記憶と、生まれてからこれまでに体験してきた記憶、忘れていた経験、読書やマスメディアの知性が、時空を越えて自他の区別もなくランダムに蓄積されています。いわば実在意識の奥に潜む記憶の大倉庫、心の奥のデータバンクです。

 実在意識と潜在意識はワンセットになっていまして、海面に浮かぶ氷山に例えられています。海面上の見える小さな部分が実在意識で、海面下の見えない大きい部分が潜在意識になります。実際に私たちが使っている意識は海面上に見えるほんの小さな部分に過ぎません。
 実在意識が海面上で発生した事件を、海面下の潜在意識へ情報を伝えますと、潜在意識がその情報を受けて記憶の倉庫から関連情報をとり出して再整理し、再加工した新たな情報を海面上の実在意識へ送り返えすことで反応が成立してきます。日常の事もこれと同じで潜在意識の記憶の再起による反応ですから潜在意識は実在意識に大きな影響を与えています。

 
しかしここで困ったことには、私たちの潜在意識領の記憶は、楽しい、うれしい、明るいなど積極的なものだけでなく、怒り、恐れ、恨み、悲しみ、妬み、憎しみといった消極的な要素が知らない間に積もり積もつて充満していることです。すでに潜在意識領にたくさんの消極的な記憶が刷り込みされています。
 この消極的な観念要素を改善しないままにして人生の諸問題を解決しよう思ってもそう都合よくいきません。潜在意識に刷り込みされたネガティブな記憶の状態で、どんなに神仏に祈っても、いくら自己啓発に励んでみても、効果はその場かぎりの一時で終わってしまいます。潜在意識の観念要素が更改されていませんので、潜在意識に刷り込まれた消極的な記憶がすぐに再起し元の木阿弥になってしまいます。潜在意識を積極的な記憶に更改しないことには、人生の根本問題は解決しません。しかし、潜在意識の記憶は奥深くに染み着いているため容易く改善できません。
 宗教の教義や自己啓発書でも潜在意識の重要性とその活用方法までは教示していますが、潜在意識に蓄積された消極的な観念要素の更改法まで踏み込んでいません。たぶん潜在意識に刷り込みされた記憶は更改できないと考えているからだと思います。

 天風哲理が他から抜きん出て優れていることは「潜在意識は更改できる」と断言し、その更改法を具体的に指導しているところです。潜在意識領に入り込んでどのように更改するかを具体的に教示しています。
 天風教義は鏡を利用し、実在意識から潜在意識へ積極的な暗示を送り込み、潜在意識の奥深くに刷り込みされている消極的な観念要素を、一枚一枚と取り剥がし積極的な観念要素へ取り換えることを実行しています。一滴一滴の水滴が石をも穿つように積極的要素をこつこつと潜在意識に打ち込んで積極化させて行きます。
 現代は情報過剰の世の中ですから、潜在意識に特別な手入れをせずに放っておくと知らない間に始末におけぬほど消極的な観念で満ち満ちてしまいます。そのうえに潜在意識の記憶からみれば、寒さや飢えの恐怖から解放されたのはつい最近のことですから、これを更改せずにそのまま放っておくと、潜在意識はすぐに祖先帰りして消極的な方へ向かって歩き出し、実在意識へ大きな影響を与えてしまいます。
 例えば実在意識が「よしやろう」と決意しても、潜在意識が「以前に失敗している。お前にできるわけないよ」と足を引っ張ります。実在意識が「それでもやるのだ」と再び決意しても、潜在意識が「やっぱりお前には無理だよ」と反応して止めにかかり、ついには実在意識が潜在意識に組み伏せられてしまうことになります。どんなに実在意識がやる気でも潜在意識が協力しないことには失敗に終わってしまいます。
 また、こうした潜在意識の中に刷り込みさられた消極的観念が充満していますと、心のアンテナである感受性に狂いが生じてきます。感受性に狂いが生じますと、何を見ても、何を聞いても、消極的にしか考えられなくなります。そのあげく考なくていいことを考えたり、思っちゃいけないことを思ったり、悲しまなくていい事に悲しんだり、怒らなくていい時に怒ったり、情緒が不安定になり、自分の感情を自分でコントロールできなくなります。
 こうした潜在意識に刷り込みされた消極的な観念を、積極的な観念に更改せずにそのまま残存させておいたままで、どんなに学問しようが、どんなに教養を積もうが、またどんなに出世して名誉や地位を高め、お金持ちになろうと、幸福そうに見えても、本人には少しも幸福が感じられません。そしていつの日か潜在意識に残存している消極的な観念に打ち負かされてしまうことにもなります。
 ニュースでよく政財界のトップが、深々と頭をさげて謝罪している映像や、「まさかあの人が」という事件を見るにつけ、こういう人たちは潜在意識の活用方法をどこかで間違えてしまったとしか思えません。

 
ですから常に潜在意識を積極的に改善しておくことが必要になります。仏教にも「善因善果」という教えがありますが、潜在意識を積極的に改善すればその結果も善となってきます。

 それには何をおいても先ず初めに潜在意識領を整理しなければなりません。記憶の倉庫を大掃除して無用の物や消極的な要素を整理して、真に役に立つ価値のある積極的な要素に入れ替えすることが必要になります。心が思う感じ方でそのまま積極的にもなり、消極的にもなるわけですから、心に積極を感じせしめて生きるには、先ず潜在意識を大掃除する必要があります。
 しかし、多くの人が潜在意識を知りながらもその重要性に気づいていません。気づいていないくらいですから活用しようなどと考えもしません。かりに重要さがわかっていても長年にわたり潜在意識に刷り込みされた消極的な観念が改善できるわけがないと思い込んでいます。あるいは今さら潜在意識の記憶の整理などできないと諦めています。諦めるというよりも潜在意識の更改など考えもしません。
 そういう人は潜在意識の更改方法を知らないので、改善という大切なことに無自覚になっています。またそういう人に限って今の自分の能力が自分のすべての実力だと思い込み、毎日の生活を小さな自己の可能性に則して、小さな範囲で活きてしまっています。
 しかし、潜在意識の更改させることは可能です。これまで消極的な要素を潜在意識に刷り込みしてきましたが、これからは暗示法を活用して、積極的な暗示を潜在意識に打ち込み消極的マイナス要素を追い出してしまうことです。

 
不断に積極的な暗示を潜在意識へ打ち込んでゆきますと、そのうちに実在意識が暗示と同位同化して更改されて行きます。筆の墨を洗った真黒な椀の水が、真水を一滴一滴と注ぎ込むことで、ついには澄んだ水になるようにです。

 <三つの暗示法>

 潜在意識を活用できるのは人間だけに与えられた特権なのですから、確実にこれを自分のものにしてゆきましょう。それにはひたすら潜在意識の更改を実行することです。
 潜在意識に刷り込まれた消極的観念要素を更改し、心を積極化せしめる方法として:

 *連想暗示法
 *命令暗示法
 *断定暗示法  があります。

 睡眠を挟んで実行するこれらの暗示法は、暗示を実在意識から潜在意識へ、潜在意識から実在意識へと何度も繰り返して往復させることで、双方がだんだん同位同化し、心が積極化してきます。一見すると難しそうですが、きわめて実行しやすい事ですので、焦ることなく怠らずに継続することが大切です。 
 
 *連想暗示法

 一つの事を想うとそれに関連した事柄が次々と想い浮かんでくるのが連想です。
 連想暗示法とは、実在意識に積極的な思考を連想させて潜在意識に送り込んで心を積極化させていく方法です。
 夜の寝がけは潜在意識が最もよく働く時で、寝がけの連想は寝ている間に潜在意識に影響を与えます。寝がけの気持ちはとても大切ですから寝つくまでの間は、たとえ昼間にどんな嫌な事や、辛い事、悔しい事、腹の立つ事、悲しい事、恐ろしい事、心配な事があったとしても、そうした消極的な情念は明日に回して寝床に持ち込ませないことです。

 一日中、精神も肉体も活動させたのですから、せめて夜の寝がけだけでも心を楽しくさせて休ませてやろうと床に入ることです。特に消極的なことで心を落ち込ませるような問題はことごとく明日に回してしまい、できるだけ明るく、朗かな、微笑ましく、勇ましさを感じることだけを、心に連想して寝つようにすることです。夜は寝るために床に入るのですから、ゆっくり心と体を休めて寝ることです。
 「寝床は神様のふところ」、夜の寝際にクヨクヨ、ジメジメと考えている人は、宇宙エネルギーの受け入れを自分から拒否していることになります。ですから夜の寝際はきれいな気持になって、思えば思うほど楽しく、考えれば考えるほど嬉しいことを、思ったり、考えたりして寝るように心がけることです。寝際にこうした連想を続けていると心がしだいにきれいに洗われてきます。


 さらにこの連想法を活用して、自分が想像した念願をはっきりとした姿で視覚化しますと、宇宙エネルギーは心に描いた想像を、現実に形にして創り出すように働いてくれます。
 人間は誰もが想像力を持っていますから、寝際に想像力を働かせて、もし病がある人でしたら、たとえ今の病状がどうであろうとも、どんどん良くなって活き活きと働いている姿を連想することです。事業がうまく行かず悩んでいる人は、仕事が好転して喜んでいる姿を連想することです。さらに一番手っ取り早い方法は想像した事柄が、すでに実現した状況を連想し視覚化することです。
 常に連想を心の中に確保し、必ずそう成るという信念を固めた上で、すでにそう成った状態を想い描き、そのイメージを暖め続けることでそのような状態が実現してくるものです。先ず感謝をもって念願を先取りするわけで、念願が達成して喜んでいる姿を想像した時、宇宙エネルギーの世界ではもうそれが成就しているのと同じことになるわけです。これを「信念の奇跡」と称しています。



 *命令暗示法

 命令暗示法はきわめて簡単ですが効果的な方法です。
 心理学で「鏡の法則」と称されるもので、寝床に入る前に鏡に映る自分の眉間に向かい、心を集中させ自分が念願を言葉に出して二人称で命令します。
 例えば、「お前の信念強くなれ」、「お前はもっと積極的になれ」、「お前はもっと元気になれ」、「お前は宇宙霊と一体になれ」と、真剣な気分で発声します。
 命令言葉は一回だけにして二回も三回も繰り返えす必要ありません。発声は大声をだす必要なく自分の耳に聴こえるくらいのつぶやきでよく、要は真剣に効果のでるまで一念不動に継続することです。効果を急ぐことなくひたすら続けて行きさえすれば、だんだん具現化してきます。食事をしたり、呼吸したりするのと同様に、軽い気持で生活行事の一つとして、寝際にわずか数秒なのでから、さっそく今夜から実行です。
 命令暗示の際は一度に数多くの項目を命令しないことです。念願の効果を確実にするため一回に一項目にします。そして一度命令を発したらそれが具体化するまで継続させます。
 命令暗示法は実行を重ねるにしたがい、効果に要する期間がだんだん短縮してきます。最初は具体化するのに三ヵ月を要したものが、二回目の念願には二ヵ月と効果がだんだん早く自覚できるようになります。
 これらは心理学の深い洞察に基づいた暗示法ですので、命令したことは必ず実現することを確信し焦らずに実行です。10回やれば10回の効果があり、百回やれば百回の効果があり、やればやるだけの効果があります。
 結果が事実を証明しますから、焦ることなく怠らずに継続して行くことです。


 *断定暗示法

 断定暗示法は命令暗示法と平行して実行します。
 翌朝に目が覚めたら前の晩に鏡に向かって命令した暗示を、今度はそれがすでに実現した気持ちになって耳元に聴こえるように断定的な言葉で繰り返します。
  例えば前の晩に「お前の信念強くなれ」、「お前はもっと積極的になれ」、「お前はもっと元気になれ」、「お前は宇宙霊と一体になれ」と命令しましたら 翌朝は「私の信念は強くなった」、「私は積極的になった」、「私は元気になったぞ」、「私は宇宙霊と一体なった」と断定します。
 前の晩は二人称で「お前は」「なれ」と命令言葉を使い、翌朝は一人称で「私は」「なった」と過去形で断定します。断定の際には言葉の通りに達成された気持ちになって言います。断定暗示は一回だけでなく一日に二回でも三回でも繰り返して、自分の断定を確実にした方がより効果的です。断定暗示は鏡を使っても使わなくも構いません。
 大切なことは自分の現在おかれている状態とは関係なく、念願達成を断定言葉で自分の耳に聞こえるようにして実行し、実在意識と潜在意識を同化同位せしめて恊働させます。
 「念づれば花開く」、心で行う思考が人生の一切を創ります。この暗示法を実行して潜在意識に暗示を打ち込めば、いつかは必ず成就してくるようになります。


 実在意識の積極化は見える部分ですから、強い意志があれば比較的容易に改善できます。しかし、潜在意識の更改は一筋縄では行きません。これで更改できたと安心してちょっと油断するとすぐさま消極的な観念が再起してきます。ですから油断せずにたゆまず継続となります。
 実在意識の積極化は強い意志をもって強化させ、潜在意識の積極化は信念をもって更改させて行きます。意志と信念の両輪を起動させて積極精神を養成させて行きます。
 これで潜在意識を積極化せしめる方法がわかりましたら後は実行です。どんなに難しい道でも教わった通りに歩きだせば、迷いながらでも目的地に辿り着きます。東京に向かって歩き続ければやがては東京に着きます。道を教わったが歩きださないでは、いつまでたってもわかったという知識だけに留まり、本当にわかったという智慧になりません。
 人生をより完全にする秘訣は、心の置きどころを積極に置き替えるだけなのですから迷わずひたすら実行です。
 「心で行う思考は、人生の一切を創ります」。

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