2018年6月アーカイブ

518rChmHc8L._SX336_BO1,204,203,200_.jpeg 井沢淳弘著「最高の瞑想法」(2018年5月刊)を読みました。
 著書は大きく前半と後半部に分かれてまして、前半部は前著書「やさしい瞑想法」(2011年3月刊)の重複で、安定打坐を瞑想として一歩踏み出した内容でした(エッセー2016年8月に紹介)。今回、評価したいのは後半部、天風著「安定打坐考抄」の現代語訳になります。
 「安定打坐考抄」は、天風式打坐を理論的に言及した貴重な著書となっています。天風師が後世に書き遺した心身統一法の「真人生の探究」(1047年)「研心抄」(1948年)「錬身抄」(1949年)の三部作があります。そして4年後の1953年の夏期修練会のテキストとして会員向けに「安定打坐考抄」を補足しました。導入に;
 「安定打坐法を、予は一名ヨーガ式坐禅法と呼称して居ることは、夏期の心身統一特別修練会に参加せし天風門下のすべてが承知されて居ることと信ずる、が然し恐らく何故の所因があって、かく呼称するかという理由に就いては、長年予の門下として行修する古参以外には、それを知悉して居る人が極めて少ないと思う」と記しています。
 この小册で安定打坐法を、論理的に説明し坐禅との違いを明確に定義しています。私はこの小册の刊行した時点で、永らく研鑽を続けてきた安定打坐法の理入が確立したと考えています。その意味で誠に貴重な「安定打坐創建宣言」になっています。天風師は喜寿に三部作プラス・ワンで、「心身統一法」が論理的に完成しました。
 私はこの貴重な小册が他の著述書と同じように改訂版が出されることを、長い間待ち望んでいました。天風会青年部が現代語訳にしたコピーを読んだことがありますが、出版まで至っていないようでした。
 なぜこれまで出版されないのか、いくつか理由があります。先ず内容が難解で会員対象にしぼられ、読者層が狭過ぎて発行部数が限られてしまい商業ベースに乗らないこと。それに文章表現が旧字体で漢字が多用されていて、このままでは改訂版にならないことです。
 今回、「最高の瞑想」の後半部において130ページを割き、「小見出し」と「注釈」を加えて現代語訳していました。ついにきちんとした現代語版が出版されました。著者の精進研鑽に敬意を表します。同時に「安定打坐考抄」が、ついに古典として注釈まで付けられるようになってしまったことに一抹のさびしさと深い感慨を覚えました。でも小册はルネサンスとして古典にしては行けないのです。
 ただ、現代語訳で読みやすくなりましたが、内容は依然として難解です。それに読んで理解できる事と安定打坐をして「神人冥合」ができる事とは別の次元になります。天風師は「強いて此境地に入りし時の心境の説明を試みれば忽ち第二儀に陥る恐れがあるを以てただ一意実習的体得に依る外はないのである」として、「この密法の実行に努力し自己の心境の払拭をして頂きたい」と結んでいます。やはり読んで理解するだけでなく、実践を通して体得して行くほかありません。

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