日常生活における行修・上

IMG_3377.jpeg 天風哲理を長年にわたり真摯に研鑽している知人から色紙「財団法人天風会修練会員日常生活行修考抄」の原版がオクションになっていますと連絡をいただきました。
 本色紙は修練会を修了した会員を対象に日常行修の心得をまとめた遺墨で、一日の実践を一枚の色紙に大集約した貴重品です。本色紙がどのような経緯でオクションに出されたのか知りませんが、64000円で落札されました。そして購入した方は色紙に満足しているとコメントを寄せていました。世のなか手放す人もいれば、買い入れる奇特なお方もいるもので、いったいどのようなお方たちなのかと興味津々です。
 思わず私の書斎に掛けています色紙を、しみじみと見上げてしまいました(上載の写真)。そんなことで改めて本色紙に書かれています文章を、そのまま書き移してみることにしました(読みやすくするために句読点をつけました)。 

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財団法人 天風会修練会員日常生活行修考抄
 毎朝、睡眠より目覚めし直后、直ちに『信念』の自己暗示を厳かに口にし、更に床上にて暫時養動法を行う。その際に『よ みがえり』の誦句と『誓』の言葉を発声もしくは黙唱し后「ひとりあんま」を実行の后、離床すると同時に自身の寝具を身分の如何に係はらず『感謝』の正念を 以て整頓し後冷水摩擦又冷水浴を行い洗顔及び整容化粧に関する一切を了へて后、活力吸収法を心誦してプラナヤマ蜜法を数回実行し、引続き呼吸操錬と統一式 運動法を厳行し、而して后一般生活行事に移るべし。
注意、 
安定打坐密法及びプラナヤマ密法並にクンバハカ密法は、一日の中機会ある毎に怠り無く回数多く実行する程、生命に好良なる効果あることを志るべからず、
尚、各誦句は心身統一を完成する根本要素となる精神生命の人生態度を積極化する自己暗示となる必須なるもの故、毎日その何れかを心誦黙唱して心の曇りを払い清める可し。
そして、常に如何なる場合にも、心を明るく朗らかに活き活きと勇ましく堅持し、かりそめにも宇宙真理を理入と行入とによりて体得せし真人たるの誇りを汚損せしめず、常に人の模範となりて、世のために尽くすことを、その心かけの第一となすべし。
    以上   喝       天風  識  


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 天風師はたくさん色紙を書かれました。天風会で販売されている遺墨だけでも「吾等の誓」「力の誦句」「赤富士」をはじめ「和」「円相」「桜」「椿」等があります。こうしたなかで本色紙は二倍の紙面に一日の行修心得を書かれた特異なものになっています。
 天風教義は「真人生の探究」「研心抄」「錬身抄」「安定打坐考抄」が基盤になりますが、それらを大集成させたった一枚の色紙に集約させてしまったところに天風師の偉大さを感じずにはいられません。その意味でも実に貴重な色紙になっています。

 しかし、
繰り返しになりますが、本色紙は壁に飾って観賞するだけでなく行修の心得として生活のなかで実践を促すとものとなります。日常行修の参考にしてこそ初めて価値ある色紙でして、どれほどの価値なのかはオクションでなく、私たちそれぞれが決める事になります。
 ただ、本色紙に書かれた時代から今日の生活環境とではいろいろな変化が生じています。また、天風教義の研鑽も日々更新していますので、本色紙にも補充が必要になってきています。本色紙の日常行修を基本にし、その上で各自の日常生活および習慣の中で必要に応じた工夫、各自が心身に合った行修法を創意し、補充されて行かれてはと考えます。
 その一例としまして、
私自身が長年にわたり研鑽工夫してきました行修法を、9月のエッセーで「日常生活における行修・中」に書き進めたく思っています。

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この記事について

このページは、三休が2014年8月29日 00:52に書いた記事です。

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