ハワイ修練会によせて


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 6月のエッセーで天風会ハワイにエールを送りました。そのハワイ島コナで、8月28日、29日に心身統一行修会が開催されます。

 行修会のプログラムにハワイならでは「海の上の安定打坐(古式水泳法)」という行修があります。なにかピンくるものがありましたので、天風会ハワイにどのような行修なのか問い合わせまして、以下の回答をいただきました。
 たいへん参考になる貴重な内容でしたので、私の感想を添えて7月のエッセーにそのまま掲載することにしました(青字はいただいたメールになります)。
      *       *        *

 「また見つかった 何が、永遠が、海と溶け合う太陽が。」

                   (ランボー、小林秀雄訳)

古式水泳の要領です。

1、水際に坐禅を組んで座ります。
  波が寄せて来るので坐禅の体制を保つのは思ったより難
  しい。 

  フラフラしたりしてどっしり座るのは案外難しいです。

  打ち寄せる波に身を任せることができるようになると、
  何とも気持ちよい
ものです。まずはこれが準備になりま
  す。

*これは安定打坐に入る前の養動法に指摘するかと思います。

2、4〜5人で手をつなぎ、そのまま背泳ぎをする要領で、
  傘の骨組みのように
足を中心に投げ出します。はじめは
  顔に水がかかってしまったりし、上手に浮くこと
ができ
  ません。
  左右の人の手をギュウと握りしめ、それがかえって重荷
  
になり沈みそうになったりします。
  それでもその体勢で浮かべるようになるまで手をつない
  でいます。個人差は
ありますが、だんだん左右の人の手
  の握り方の違い(強弱)に気づきます。 

  右の人はギュウと握りしめているけれど、左の人は握る 

  手が段々軽くなっていく、、、というように。

  カンのよい人はここで自分が多くの事にしがみついてい  
  たことや、こだわり
などが強かったことに気づきはじめ
  ます。

  そこで補導が「思考作用の誦句」を唱え始めます。

  「吾は今、宇宙霊の中に居る、、、」

  すると大半の人の身体がゆるみ一人でプカプカ浮き始め
  ます。この時点で
何かを解き放すことに気づきます。

素晴らしい方法です。ほんと素晴らしい!

「思考作用の誦句」もいいですが、同時に「活力吸収(プラナヤマ)法の誦句」がより相応しいかなと考えます。そして「我は宇宙霊と一体」なりを唱えます。

 私は羊水の中、宇宙の中にいるような体験をしました。 

 自分と自然(海)と宇宙が一体である事を身体で覚えます。

*よくわかる気がします。私も同じ感覚になるかと思います。

海は生命の誕生の母体でありますし、羊水の成分は38億年前に生命を誕生させた原始の海とほぼ同じ成分といいますから、原始の遺伝子からの記憶が呼び覚まされるのかも知れません。まさに「吾は今、宇宙霊のなかに居る」です。

 前回の体験からですが、これで安定打坐での空に近づき、
 日常の坐禅に磨きが
かかるようです。

*これは私の個人的な思いですが、心耳からの安定打坐では、すぐに心がおしゃべりを始めだして、どうしても神人冥合の持続に限界があるのではとうすうす感じています。もちろん瞬間活力法の打坐として優れた方法ですが、心耳だけでなく全身を耳にして心身を統一し、「宇宙霊と一体」になる方法として「古式水泳式安定打坐法」は素晴らしいと思います。常夏のハワイの海と太陽に最適な方法です。安定打坐は宇宙霊と一体(神人冥合)化のための手段であって目的ではないのですから、いろいろな打坐法があってよいと考えています。

 私は群馬県の山育ちですので潜在的にどちらかというと海よりも山になります。実は古式水泳法ではありませんが、私もこの方法と似たことを、群馬の温泉につかりながら「プラナヤマ法」を通じ、宇宙羊水の中に浮かんでいることを実感していました。体内75%の水分と地下からの湧き湯が、内と外とで解け合って「宇宙霊と一体」となる方法です。
 想うに、天風先生もかつてインドのヨーガの里で、毎朝ヒマラヤから流れる冷たいメハム川に腰まで身をしずめて打座をしている時、小魚が戯れ足をつつかれながら、宇宙霊との一体感を会得して行かれたのかと思います

 そんなことで、冒頭のランボーの詩を改訳して結びます。

 『また見つかった 何が、永遠が、海と溶け合う霊魂が。』


最後になりましたが:
天風会ハワイの心身統一修練会のご成功とご健勝をお祈りいたします。

今年はアジア出張と重なり参加できませんが、次回に機会ありましたら参加させてもらいます。

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この記事について

このページは、三休が2015年7月28日 07:12に書いた記事です。

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