本サイトで月一回のペースで書いてきました「第5部、天風師の面影」を、12月をもって終了することにしました。
その報告を込めて12月初旬に、中村家と杉山彦一先生の「飛天の塚」に、お墓参りしてきました。
中村家のお墓には、天風会初代中村天風会長、2代目安武貞雄会長、3代目野崎郁子会長が納骨されています。4代目杉山彦一会長は、巣鴨霊園の共同墓地「飛天の塚」となっています。4代目で会長名義が無くなりましたので、杉山彦一が最後会長となりました。
また、毎年行われてきた墓前供養も天風会百周年をもって取り止めになりました。
1985年に私が天風会に参加した時は、杉山会長のもとでまだ天風師の温もりがあり、できるだけその面影を残そうとサイトに書き続けてきました。
しかし、今年30年ぶりに鎌倉修練会に春秋と2度参加させてもらい、また東京の講演会に参加しました。そこで感じたことは天風師すでに書籍の中の人となりつつあり、さらに杉山先生の名講義を知る会員さえ少なくなっていました。
時の流れを思えば当たり前のことなのですが、私にとりこれは衝撃でした。
明治も昭和も遠くなり、もう「天風師の面影」を書き続けることもなくなったようですので、2022年12月で終了とさせてもらうことにしました。これまでありがとうございました。
冬至の日、ミュンヘンの旅から。
2022年12月アーカイブ
田坂広志著「死は存在しない」―最先端量子科学が示す新たな仮説―、実に面白い本でした。できたら皆さんにお薦めです。
東京の本屋にたくさん並んだ書籍のうち、スイス旅行の途上で読もうと思い3冊の本を購入したなかの1冊でしたが、出発前に一気読みしてしまった。
購入後に群馬に帰省しますと、友人が用意してくれていた本がなんとこの本でした。世に言うシンクロ、以心伝心でしたが、実はこの本はその偶然が導入テーマになっていました。
内容に入りますと、量子科学でいう「ゼロ・ポイント・フィールド仮説」(量子真空)で、全てを論説していました。ただ仮説ですから前提が崩れれば全てが揺らいでしまいます。
天風師は「やがて21世紀が来たら、思想的にも、アイデアの方面にも、必ずや世界をリードするだけの権威ができると、私は確信している」、「私が三寸息絶えて、何百年の後に、世界中がみな宇宙霊との一体の実行者に、必ずなると確信を持っている」と、遺言を残していますが、量子科学の「ゼロ・ポイント・フィールド」は、それを裏付けています。
「ゼロ・ポイント・フィールド」を「宇宙霊」に置き換え、「波動」を「気体」にすれば、そのまんま天風哲理になります。ただ、天風哲理は死後の霊魂は宇宙に還元し不滅としていますが、本著書は死後まで言及していまして、宗教哲学に接近し量子論からの逸脱が伺えます。
筆者は「終話」として、21世紀は科学と宗教は一つになり、科学的知性と宗教的叡智が融合した新たな文明を提起しています。これはすでに天風哲学が100年前から実践してきたことではありますが、傾聴に値します。
やはりスイスの旅に携帯して再読と考えています。
本著書は1961年に天風会に入会された服部嘉夫先生の米寿を祝い、会員有志により2021年に出版されました。非売品のため千葉賛助会の吉田勝昭様からいただきました。
著書には服部先生の写真はもちろんですが、天風師の遺筆をはじめ、歴代の会長の遺影、現役会員の写真等が豊富に掲載されていました。
天風会に入門されてから60年間、ひとすじに心身統一法を実践されてこられたことに敬服いたしました。また、これは戦後の天風会の歴史そのもので貴重な資料にもなっています。
私が1986年の日曜行集会に初参加した時、亡き天風師の温もりが残るなか、杉山彦一会長のもとで服部先生は講師をされていました。
服部先生が指導する「呼吸操練」「統一体操」は、力強く、気がこもり、とても素晴らしくもので、今でも目に焼き付いています。
私は平成時代から「一人天風」を実践していまして、天風行修会をまるまる無沙汰してしまい、服部先生のご活躍を知らずにいました。32年ぶりに鎌倉の行修会、東京の講演会に参加させてもらい、服部先生が天風会の大御所になっておられたことを拝見し誠に嬉しいかぎりでした。
「弗為胡成」、なさずんば、なんぞならん。明るく、朗らかに、統一道を実践し、誠に天晴れな人生を見させてもらいました。
天風師本命日に記す
追記;服部先生は2022年12月29日に逝去。
お悔やみ申し上げます。