龍華寺

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IMG_3129.jpeg 今回6年半ぶりに上海の最古で最大の龍華寺をお参りしてきました。そこで前回とは違った「光景」に遭遇しました。
 前回ですと私がお線香をもって参拝している人にカメラを向けただけで、突然どこからか公安警察らしき私服の男が現われ、カメラをさえぎるようにして「お前は韓国人か?」と誘導尋問してきました。日本人と承知の上でわざと間違えるところに公安のプロを感じました。
恐らく私が境内に入った時からマークしていたのだと推察します。私は黙秘しようと思いましたが、少し意地になって「日本人だが、なにか?」と返しますと「小泉首相(当時)の靖国参拝をどう思うのか?」ときました。いきなり失礼な男だなと思い相手を睨みながら、「日本人は死者を祀るのは当然の慣わしだ」と言いますと、聞くともなくす〜と何処へ消えて行きました。明らかに私に対する牽制でした。
 そんな事を思い出しながら境内を巡ってましたら、たくさんの参拝者のなかに、上にある写真のように数人の若者が教典を持って跪いて堂々と経を唱えていました。彼らの姿は現世利益よりも魂の救済を唱えていたようでした。この様変わりに中国も変色してきたなと正直おどろきました。もちろんここまでは体制の許容範囲内で、これが組織化したら規制されると思いますが、変化を感じました。
 いま中国では仏教徒だけでなくキリスト教徒が急増してまして、政府の管理下で公式に認めている教徒と地下教会の信者を含めると1億人を越えているそうです。政府は急増に神経を尖らせ、先日も淅江省に新築された教会が、違法建築を理由にして取り壊されました。政府は宗教への取締を強化し、もし体制の脅威になれば弾圧するのですが、現在ここら辺りまでが民衆のガス抜き黙認範囲なのでしょう。それでも大きな変化です(まったく今時ね〜)。
 人間は政治や経済だけでは救われず、自力を越えた宗教感情、心の寄りどころを必要としているのかと思います。遺伝子に刷り込みされているのかも知れません。ソ連邦が無神論の政権下で70年間にわたり宗教をアヘンとして禁止してきたにもかかわらず、地下でしぶとく生き続け崩壊後にはロシア正教がすぐに息を吹き返しています。政治力では人の心まで統制できるものでありません。
IMG_3135.jpeg 廟の奧に行きますと、かつて笹川良一氏が寄贈した平和の杭が、人の目に留ることなく虚しく建つていました。そこには「世界人類が平和でありますように = 我們祈祷世界人類的和平」と書かれています。

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このページは、三休が2014年7月10日 00:13に書いた記事です。

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