2017年4月アーカイブ

51-QbGgcNXL._SX311_BO1,204,203,200_.jpeg 緊迫する北朝鮮問題のおり、米戦略国際問題研究所の上級顧問、戦略家エドワード・ルトワック著「戦争にチャンスを与えよ」を読んでみました。ベストセラー「中国4.0」の著者でもあり、安倍首相とは5度にわたりランチ・レクチャーするアドバイザーです。
 第5章「平和が戦争につながるーー北朝鮮論」は、著者の2016年10月時点のインタビューですが、北朝鮮の軍事力が一定の限界を超えたことを前提に、日本の選択を論じています。
 「日本は平和慣れして、脅威が眼前にあっても、われわれは人事にように『まあ大丈夫だろう』と考えてしまう。脅威が存在するのに、誰も備えの必要も感じない。むしろ戦争に備えること自体が問題になる。そうして行動のための準備は無視され、リラックスして紅茶でも飲んでいた方がよい、ということになり、そこから戦争が始まるのだ。平和は戦争につながる、なぜなら平和は、脅威に対して不注意で緩んだ態度を人々にもたらし、脅威が増大しても、それを無視する方向に向けさせるからだ。日本にとって、その典型が北朝鮮問題だ」と、弁解の余地なく手厳しい。実際いまになっても米軍頼りで人事のような有様です。
 著者はここで日本の選択肢として、「融和(降伏)」「先制攻撃」「抑止」「防衛」4つの戦略を提示していますが、「現実にはどれも選択せず、何かしら行動を取らねばならぬのに『まあ大丈夫だろうと』という極めて危険な態度である。この態度こそ、平和を戦争に変えてしまうものなのである」と、警鐘しています。
 まだ危機は継続しますが、日本は隣国の威嚇に対して核を保有せぬひ弱さを露呈しました。でも危機が過ぎればやはり「まあ大丈夫だった」と能天気ですが、この機会に「金」を取って詰ませぬと、中途半端では将来に禍根を残すことになる。
 第9章「もし私が米国大統領顧問だったら」(2016年10月時点のインタビュー)では、トランプ大統領の勝利を予言し、ビザンティン帝国の戦略論を披露し、トランプの今の外交政策を先取り予測していました。
 また8章「戦争から見たヨーロッパ」で、「戦士の文化」の喪失と人口減少論で「男は戦いを好み、女は戦士を好む」精神を喪失してから少子化がはじまり、ヨーロッパの没落がはじまったとの慧眼には目から鱗でした。これは日本への警鐘でもあります。
 それにしても、キッシンジャー、ブレジンスキー、この著者といい、なんでみな戦略家がユダヤ人なのか。
 「戦争にチャンスを与えよ」、ゴールデン・ウイークに是非のお薦め本です。 
 さて緊迫した4月が過ぎるようです。5月も緊張続きますが、よい月にして行きましょう。

守之不動

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IMG_4807.jpeg 私が時おりランチを食べに行く台湾料理店があります。お店の内装はシン・タイワン風で、料理の味もかなり台湾風味に近いことから、客層もタイワンの人で繁盛しています。
 先日ランチしている間にトイレに立つたら、「関宮」(商売の神)を祀る棚の右下に掛けてあるカレンダーの「守之不動」が、目に止まりました。タイワンの現状を一行で言い尽くしています。
 チャイナ政権は2020年までにタイワンを呑み込こもうとしています。タイワン統一はチャイナ共産党の悲願でして、習近平は毛沢東、鄧小平もなしえなかった歴史的偉業に挑んでいます。これには一切の妥協はなくもしタイワンに少しでも独立の動きがあれば、国際世論など無私して即ミサイルを打ち込み、武力を行使して統一に動きます。これはチャイナの妥協できない絶対核心です。
 しかし、チャイナの歴史で国が一つに統一したことなどありません。しかもタイワンはこれまで直接統治したことのない「化外の地」でした。タイワンとってはえらい迷惑なことです。
 タイワンの世界史的貢献は、この地に民主国家の火をともし続けていることにあります。そして共産専制のチャイナでも民主国家になり得る希望を与えました。これはチャイナにとり大きな脅威になります。
 タイワンはチャイナが民主国家になった暁には、統一を考えてもいいと主張し、「統一したければ、先ずはお前が変われ」と言ったところです。蔡英文は総統選挙で勝利したとき、「私たちは、世界に台湾の自由と民主を示しました!」叫び、タイワン側にも妥協はありません。それまでは脅威に耐えながら「守之不動」で「現状維持」の政策をとっています。
 アメリカは「台湾関係法」でタイワンを守る条項がありますが、民主日本は1972年に日台が断交して以来、非情にもその責務を切り捨てたまま今日に至っています。なんとかしたいものです。

5107yp71OIL._SX339_BO1,204,203,200_.jpeg 活字離れが続く出版業界、最近は読者の目をひこうと出版本のタイトルが売らんがための派手になってきています。「世界が地獄を見る時」の名題に嫌悪を覚えたのだが、門田隆将氏と石平氏の対談本なので読んでみました。
 対談は啓蒙に富み充実した内容でしたので、このタイトルなんとしても惜い。サブタイトルにある「日本、米国、台湾の民主連携で中華帝国の野望を撃て」か「台湾を制するものが、アジア、西太平洋を制す」にでもすればよかった。
 門田:「人類が一生懸命、多くの犠牲を費やしてたどり着いた普遍的な価値観を、われわれは守ることができるかどうか。もし、われわれが台湾を守れなければ、この価値観はもう守れなくなります」。
 石平:「台湾は生命線であると同時に、日本、米国、台湾は同じ価値観を持つ運命共同体であることを、どうかすべての日本人にわかってほしい。台湾を失ってしまう、台湾を中国に取られてしまえば、そのとき日本はもう終わるのです」。 
 門田:「この連携が中国に押しつぶされた時は、アジアのみならず、世界が地獄を見ることになります。それをそうさせないために、私たち日本人も、真の人権と自由を守ることの重要性について、あらためて高い意識をもたねばなりませんね」。
 このままでは日本もチャイナの属国になってしまうということなのですが、日本はそんな柔でない。今上天皇が居わすかぎり日本は終ることはないが、地政学的な警鐘として心に留めておきたい。

香港の街中で

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IMG_4993.jpeg 香港の街中で、中華帝国膨張の「一帶一路」の看板を見た。
 看板主はHSBCイギリスに本社を置く世界最大級のメガバンクでした。1865年に創業の「香港上海銀行」を、母体として1991年に設立され、うち香港部門が最大の収益率22%占めています。また香港紙幣を発行している。
 「一帶一路」は、習近平の肝いりで始まった中華帝国の膨張構想で、それにHSBCが彼の機嫌とりで神輿を担ぎはじめるとは、いよいよ習近平が香港でも権力を固めてきたのだろう。それにしても「香港上海銀行」の軽薄さ、いやはやです。
 「一帯一路」の一帯は、チャイナ西部から中央アジアを経由してヨーロッパにつながる「新シルクロード経済ベルト」。一路は、チャイナ沿岸部から東南アジア、インド、アラビア半島の沿岸部、アフリカ東岸を結ぶ「21世紀海上シルクロード」構想。5月に国際協力サミットが北京で開催を予定し、28カ国の首脳が出席を表明しています。G7からは「すべての道はローマに通じる」イタリアのみ参加。
 チャイナの国有ゾンビ企業の延命をねらった手前味噌構想は素晴らしいが、夢想が先行し採算ベースが前途多難となっていますから、利に聡いHSBCも神輿をヨイショしただけで終わるのだろうが、ともあれ要注意です。

 香港の通勤時間の地下鉄ラッシュは、東京と同様、人、人、人です。
 そんな人混みの構内で、広東語の大きな声で口喧嘩が始まりました。口論の原因は足を踏んだ踏まないという些細の事でしたが、それに大勢が見ているので面子が加わったわけです。まぁこうした口論はよくあることで、またいつもの事かと見てましたら、手を振り上げて殴り合いが始まりました。素人の喧嘩でしたが、私は初めてチャイナで殴り合いにまでゆく喧嘩を見ました。香港人もやる時はやるのだと頼もしく思った次第。がんばれ香港。

無錫旅情

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2c0d30b8b32b4e338e5b9716f2c1ed4a_th.jpeg         (東京オリンピックで金メタル獲得を宣言)
 今回は出張中に米軍による北朝鮮攻撃があるのではないかという緊張がありました。私はそのXデーの15日にチャイナに入国したわけで、かなり能天気でした(次回のXデーは25日)。
 15日は杞憂で終り、同日になんと平和なことにチャイナ無錫で卓球アジア選手権が行われていました。この前日に18歳なった平野美宇選手が、卓球王国チャイナの世界ランク1位、2位をなぎ倒して、決勝戦で5位をストレートで勝利し、日本選手が21年ぶりにアジアの王者になりました。若い力の勢いで見事な道場破りでした。卓球界も福原愛選手から平野美宇(美しい宇宙)選手へ華麗に世代交代しました。
 私はこの超新星の誕生を、珠海のスポーツニュースで目撃したのですが、実に胸のすく試合でした。当地の新聞は「三人の大人が子供に打ちのめされた」と衝撃を伝えてました。こんな快挙でしたら〜♪「上海、蘇州と汽車に乗り、太湖のほとり無錫の街へ」応援に行けばよかった。
 先日はフィギュアの浅田真央選手が華の引退、第2の浅田選手を目指して若手選手と世代交代。ここにきて国民的スター「愛ちゃん」「真央ちゃん」が去り、一つの時代の節目を感じます。
 かつてまばゆく「輝いたという記憶だけで、ほんの小さな一番星に、追われて消えるものなのでしょう」。
 東京オリンピックに向けて、大スター誕生を喜びたい。

日本の天然水

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IMG_5063.jpeg チャイナ特に都市部は深刻な大気汚染ほか、深刻な河川や地下水の汚染と絶対的な水不足が平行しています。
 「世界中にあふれる水不足の報道をすべて合わせても、北京がいま直面する水不足の危機的状況には及ばない」と、中国水科院水資源所の王浩所長が発言しています。
 これらは人民の最低限の生存権ですが、最近になりこの二大汚染を公に批判することは、反国家的行為として規制しはじめました。黙れば解決するとでも思っているのだろうか。
 もしチャイナが崩壊するとしたら経済でなく生活に直結した二大汚染からの内部崩壊かと思う。当然の事として崩壊するくらいなら、生き残りをかけ武力を持って隣国を占領してでも、青く澄んだ空、豊かな水源の略奪に動きますので、これは日本にとって脅威となります。水の奪い合いは常に紛争の種になってきました。
 中央政府も各地から引水の努力を続けていますが、慢性水不足は配分側に権力が集まり、大手の工場やホテルなどはたくさんの水を必要とするため、水道局の小役人さえ多額の賄賂の恩恵になっています。
 私はホテルの水が特殊な臭いがするため、歯磨きにはペットボトルの水を使い、入浴もできるだけ節水するようにし、入浴後は目薬を欠かしていません。出張のさいのペットボトルは現地産でなく「エビアン」を買っています。
 チャイナでなく香港の地下鉄の売店にですが、北アルプスのおいしい水「立山の天然水」を、85円の特別価格で販売促進していましたのでので、さっそく買いました(エビアンは230円)。
 「立山の天然水」は、北アルプスの雪山を観光した台湾の人たちからヒットし、ついで香港の販売となったようです。やがてはチャイナ市場にも進出するのだと思います。
 天からの恵、日本のおいしい水が、こうした形で海外に流れれば、たとえ「焼け石に水」であっても、彼らの生活を潤し、紛争回避の一助にもなりますので、いいことです。

港珠澳大橋

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260px-HZMB_route.svg.png 「港珠澳大橋」の建設がどこまで進んだのか視察したく、わざわざチャイナ珠海に入って一泊した。
 ついに、香港ーマカオー珠海に架かる世界最長の「港珠澳大橋」がつながりました。全長35キロメートル、香港とマカオ間を車で30分、年末までに開通の予定。海上に長い橋を架けるという大きなプロジェクトでした。
IMG_5021.jpeg かつてイギリスの植民地であった国際金融商業都市の香港と、ポルトガルの植民地であった国際賭博都市マカオと、チャイナのリゾート地の珠海、この珠江デルタが名実ともに橋でつながりました。チャイナは南から変化して行きますので、大珠江デルタ地域が、これからどのような文明を築いて行くのか楽しみです。
 ただ惜しむらくはリゾート地である珠海の空気がさらに汚染されてきていることでした。それと平行して人々が殺伐としてきて、街を歩いていて初めて怖さを感じた。私は2時間ほどで目が痒くなり、喉にカスレを感じ咳がでてしまった。
 「港珠澳大橋」の写真も薄汚れた海上に横たわっていました。これはなんとかしないと、、、
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桜ずくし

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IMG_4884.jpeg 3日遅れの時差ブログですが、今回の日本は絶妙のタイミングで、どこに行っても桜が満開、桜、桜、桜ずくしの旅でした。
 これほど一斉に咲いた桜を観たのは何年ぶりかな、実にいい時に来ました。
 桜はぱっと咲き、さらりと散り行くところに美意識を感じるといいますが、これにそろって一斉に咲く美も加えたい。極めて農耕民族らしい和の感情を代弁しています。
 新潟の高田城公園の4千本さくら、群馬のさくら、上野公園では海外からの花見ツワーで、外国人が多かった。
  いつのまに 桜の下は 国際化 (三休)

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黄昏の香港

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IMG_3897.jpeg 6日からチャイナの習主席が訪米し、米中首脳会談となる。
 主席の面子と国内向けの権威付けのため、フロリダの別荘で安倍首相と同待遇の子供じみたごり押し外交。習氏にとりあまり気乗りのしない訪米ですが、たくさんのおみやげをもって来るので、安倍首相の19秒の握手を超えて20秒になるかな。今日はまた北朝鮮が花火を上げたが、たぶん対北朝鮮や南シナ海を含めなんの成果もなく、挨拶だけで手ぶらで帰ることになるかと思う。
 日本は、日中間を常に競わせて天秤にかけるアングロサクソン外交に惑わされることなく、ジャパン・ファーストで行けばいい。
 幸いにも私はこの日から当地を留守にするのでライブニュースを見ないですむ。私は今回タイワンに行かずに、香港、チャイナとなり、加油(頑張れ)香港と開通真近かの「港澳大橋」を見るのが一つの目的となっています。
 チャイナは4月から在駐外国人を対象にABCのランク付け制度を導入。A=ハイレベル人材、B=専門人材、C=一般人員(国外追放)とのこと。移民、失業、テロ対策をかね、体よくアフリカからの出稼ぎ労働者を排除するのだろう。日本人の多くは"B"ランクのようで、私など寅さん外国人はさしずめ"C"対象。
 一方的な中華思考のランク付けなど、こちらにとって大きなお世話、それまでして行きたくもないので、だんだんチャイナから足が遠のくと思う。"China"は"C"だ。極東アジアはアップグレードが必要です。

さくら便り

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20170325-00000048-jijp-000-7-view.jpeg 4月に入り桜便りがとどいています。
 私も休めた翼をひろげ上越高田公園の4千本桜の花見に出かけることにしました。開花情報がエプリルフールでなければ「つぼみ」とのことで、私の桜狩りはちょうど満開のようです。できたらライトアップされた夜桜も楽しみたく思ったが、周辺のホテルはどこも満室でした。
 京成電鉄の葛飾柴又駅に、旅にでる「寅さんの像」があります。先月のこと、ふり返る寅さんの視線に合わせ、サンダル履きエプロン姿で見送る妹「さくら」の像が建ちました。
「さくら泣くんじゃんねぇ、兄ちゃんこれでも幸せなんだよ」、「何と言うかな、あ〜生まれてきてよかった。そう思うことが何べんかあるだろう。そのために人間生きてんじゃねえか?」。昭和も終り、平成もじきに過ぎ、寅さんも遠くになりにけり。
 それでは、さくら、国際版・寅さんも春風に吹かれてくるとするか。
  さまざまの こと思い出す 桜かな(芭蕉)
 

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