2011年5月アーカイブ

五月雨のち五月晴れ

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 「今日はアメリカも日本晴れ」これは私がよく使うフレーズでして、当地の人にはわからない独り言。風薫る5月の青空に元気よく泳ぐ鯉のぼりは、男子に産まれてきた原風景。これで花粉さえ飛ばなければ最高の月になるのですが、全て思うようには行かぬものです。
 春になって花が咲くのは毎年の事とはいえ、いつもこの季節になると自然の采配に感動してしまう。長い冬空を突き破り花々が鮮やかに咲いて春爛漫。4月の終りにハナミズキが気品よく咲き、このころから私も鼻水き。5月に入るとプログラムされていたかのように、赤紫のサツキが咲き、アヤメが咲き、薄紫の藤の花が咲き、五月雨に打たれながら青紫の紫陽花が咲き、紫系色の花々が初夏を感じさせてくれます。5月はなぜか紫系の花が多く、私はパステル紫にこよなく惹かれてしまう。
 東北の震災地でもガレキの合間から、タンポポや雑草の花が咲いているといいます。私はこのところ毎晩のように被災地でご奉仕している夢をみていまして、これもタンポポのニュースに触発された白昼夢なのですが、、、
 福島第一原発の跡地にたくさんの花を植え花園にしたらどうだろう。跡地を癒すには花を植えるのがいい。海岸沿いに松の樹を、敷地内に染井吉野の桜樹を植え、周辺の大きな土地をひまわり畑にして、池の周りにチューリップやカーネーション、道端にラベンダーとコスモスを植えたらどうかと想う。

 ひまわりには放射能で汚染された土壌を浄化するといわれます。植物には根っこから土壌の放射性物質を吸収するそうで、中でもひまわりが最も吸収効率がよく、土壌の放射性物質の除去までに30年以上はかかるといわれる場所でも、わずか20日間で95%以上を除去したとい記録が残っているそうです。もしかしたら、ひまわりは宇宙戦艦ヤマトが14光年彼方の大マゼラン星雲から地球に持ち帰ってきた放射能を除去する花なのかも知れない。
 放射能は人の心まで汚染できない。ひまわりの花芯をもって心を浄化させよう。

リスボン大震災

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 5月2日から8日までポルトガルへ行ってきました。
 2月に予約した旅行とはいえ、あいにく東日本大震災の直後ということで、何を見ても1755年に発生したリスボン大地震に思いが行ってしまい、いまいち浮かぬ旅になってしまった。その浮かぬ心にファドの怨歌が重く響いてきた。
 リスボン大地震はマグニチュードM8.7〜9と推定され、揺れが3分半〜6分ほど続き、街の中心部に5m幅の地割れができて建物の85%が崩れ落ちたといわれています。さらに地震から約40分後に15m級の大津波がテージョ川を2度も遡り、
港や市街地と1万の人をのみこみました。その後、街中に火の手が上がり5日間にわたりリスボンを壊滅的に焼き尽くし、6万2千人の犠牲者をだしました。
 震災の11月1日はカソリックの祭日の聖なる朝で、市民が教会でミサの祈りを捧げている時でしたから、天災か天罰かの神学論争にまで発展し、西洋の啓蒙思想家に大きな影響を与えました。250年前の大震災ですが、震度といい、津波の高さといい、天罰論争といい、どこか東日本大震災と重なり合うものを感じてしまいます。
 今日でも街角や教会に廃墟がメモリアルのように存在し、市を中心にして下町と高台が交差する位置に高い塔が建ち、その上から街並を見守るかのように銅像が立っています。この銅像の主こそリスボン再建に大きく貢献したポンバル
宰相で、関東大震災後の後藤新平復興院総裁に匹敵します。
 
ポンバル宰相は震災後すぐに建築家を結集し、完璧に秩序だった街の再建に着手しました。1年以内にリスボンからガレキが消え、いたる所が建設現場となり、大きな広場と直線状の広い街路の新しいリスボンを再生させました。当時こんな広い通りが必要なのかと揶揄する者もいましたが、宰相は「いずれこれでも狭くなる」と答え、この辺りも大風呂敷の後藤新平と共通します。
(上記の写真に見られる様に、高台の手前が震災の廃墟と大きな広場、中央がポンバル銅像、遠方の下町の奧にテージョ川が望めます)
 
当時に建てられたポンバル様式の建築は世界最初の耐震設計となり、その耐震方針は今日にも受け継がれています。街並には高いビルがなく(シェラトンホテルがアホ高く見えるだけ)、高台に在るデパートやホテルは5〜6階建てになっていて、その低い分だけ地下を5階まで掘り下げて利用しています。
 窓の無い部屋の良し悪しは論外にしても、リスボンの再建から学ぶものがたくさんあるかと思う。東日本の再建に復興理念をもったポンバルいや、後藤新平の登場が至急となっています。

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