触らぬ神に祟りなし

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(上海龍華寺の香炉)

 烏鎮(ウーチェン)の白蓮寺の香炉に煙がたっていないと書いたが、けして全てのお寺がそういうことではない。上海の静安寺や龍華寺にしても線香の煙が絶えることがない(入場料が高くて参拝できぬ人もいるが)。中国政府も参拝を黙認している。
 3年ほど前に私が龍華寺を参拝し、線香を両手にもって拝んでいる人たちをカメラで撮えた瞬時に、どこからか突然に公安らしき私服の男が現れ、撮影の邪魔をするかのようにして、「お前は韓国人か」と、故意に間違えた誘導尋問をしてきた。
 いきなりなんと無礼なと思い、「いいえ」と不快な顏で返答したら、「日本人か、小泉首相の靖国参拝をどう思うのか?」と来た。こちらもカチンときて、ヤバイなと思いながらも誘導尋問にひっかかってやった。「日本には死者を祀る文化がある。いわんやお国の為に死んだ者を拝むのは当然の事」と返答したら、男は黙ってどこかへ消えてしまった。
 先日のニュースに、アメリカの大統領とチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマが会談したことを、中国政府が抗議し「強い憤りと断固たる反対」の声明をだした。
 また今日のニュースでは、中国政府はローマ法王庁(バチカン)の意に背き、政府公認の「中国カトリック愛国会」が、一方的に少なくも7名の司教を任命し、バチカンとの関係を悪化させているという。
 チベット仏教でも中国独自認定のパンチェン・ラマ十一世のカイライを立てて、ダライ・ラマを否定している。日本の靖国参拝といいい、宗教をなんでここまで政治と絡ませて警戒するのだろうか。政治が人の信仰の聖域まで入り込むこともないと思うのだが、いまだにマルクスの言う「宗教はアヘン」などと思い込んでいるのだろうか。
 そんなわけで中国政府は宗教を黙認すれど公認しないので、人民は生活の知恵から、「触らぬ神に祟りなし」の無宗教を決め込んでいる。しかし、中国政府こそ「触らぬ神に祟りなし」の知恵を学ぶべきかと思う。






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このページは、三休が2011年7月23日 03:20に書いた記事です。

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