狗不理

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DSCN3161.jpeg 今日もまた食べ物の話しで恐縮だが、なにせ私は中華料理に惹かれて中国語を勉強したくらいですからお許しのほど。
 天津を総本店とする150年の老舗「狗不理(ゴープリー)」料理店で、清朝の西太后も愛でたという包子(肉饅頭)を堪能してきた。「狗不理」とは「犬も構わない、犬も食わない」と言うおかしな屋号だが、中国政府が認定する「中国十大料理店」の一つなっている。調理法は無形文化財に指定され門外不出とのことだが、門を出て池袋西武百貨店8階に分店が進出している。
 「狗不理」の由来は清朝時代に、幼名「狗子」という(中国では子供が早く健康に育つよう動物の名前をつける習わしがある)、この青年が料理する包子が、とにかく美味いと評判になり客が行列をつくり商売繁盛となる。しかし「狗子」は包子売りに忙殺され、お客と話すことなく無愛想で、お構えなしだったことから、「包子は美味しいが、狗子はまったくお構え(不理)なしだ」から来ているという。
 ちなみに、私の姓「野口」の「口」は、有気と無気音の違いがあるが「狗」と同音になるため、友人から「野狗」で「野良犬」と揶揄されることもある。まぁ、無国籍の野良犬のような者でもあるが。
4goubuli_p.jpeg 包子は天津の名物料理、天津に来て「狗不理」で食べないことには土産話にならない。私もその評判を聞きつけての訪問。早速、ひとつの包子が一つの蒸篭に入った6種味のセットと松茸スープを注文した。価格は約1200円、当地としては高い食事。具材はそれぞれ、牛肉、豚肉、羊肉、蟹肉、三鮮、ニラ包子が出て来て、ひと噛みすると熱いスープが溢れだし芳ばしい香りが漂ってくる。一包一包ずつ違った味を楽しみながら一気食い。気がつけばガイドと二人で上の写真の如く蒸篭の塔。暖かいうちが美味しいとはいえ、もっとゆっくり味わって食べればよかった。
 天津甘栗の味は昔から変らないと思うが、包子は150年前の味と今では、おそらく違った味だったろう。まずサイズも違い塩気も違っていたと思う。味は時代の変遷とともに調味されながら引き継がれて行くもので、中国語では「味」のことを「味道」と、道がつきます。美味しいことを「味道好」(この味の道は好い)と言います。そして地道な「伝統的な味」を「道地」と称讃しています。中国料理の奥深い所です。

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このページは、三休が2011年12月22日 00:27に書いた記事です。

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