助けた亀に連れられて〜

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 私は車を運転していて信号待ちの退屈な時に、前の車に貼ってあるシールを読んで時間を紛らわせています。
 シールに書かれた文はキリスト教に関するものや、支持政党の政治的なニュアンスのものが多いなかで、これまでに上手いフレーズだと感心したものに、40フィートのコンテナ・トラックの後ろに書かれていた一文でした。英文の方はうすら憶えですが、日本語に意訳しますと、「もしあなたが私のバックミラーが見えない時は、私もあなたが見えません」というフレーズでした。実務的な文なのですが、ミラーを神に置き換えますと聖書に書かれているような意味深なものになっていました。

 最近のフレーズで感心したのは、「I brake for an animal.(私は動物にブレーキをかけます)という文でした。当地ニューヨークの郊外ではリス、ウサギ、鹿、カモ、タヌキなどが車道に飛び出してよく轢かれています。可哀想なのだが後続の車があると、急ブレーキをかけられません。ですからこのフレ
--ズの方が「動物愛護」や「I Love Animal」などよりも心に訴えてきます。
 さてそこで今朝の話しですが、私が運転していた時に、20センチほどの亀が四車線の道を横断していました。一瞬「石が動くはずがない、亀かな?」と、我が目を疑い通り過ぎました。なにせ亀の横断は初めてでして、たぶん近くの湖水からはい出てきたのだろうと思う。いかにしても亀のことですから車に轢かれる確率は96%です。私は100メートル先でUターンしてそこに立ち戻り、非常駐車のライトを点灯して亀を捕まえました。
 亀を捕らえてから対向車線を見ると、数台の車が私と同じことを考えてか、Uターンして駆けつけていました。そして、私が亀を捕らえたのを見て、亀に代わって私に「サンキュー」と声をかけて走り去って行きました。みんないい人です。私の好きなアメリカ人の豊かな心です。私も急ぎの用事があったのですが、300メートル先の湖水まで行って亀を放してやりました。
 そこで、もしかすると私もこれで竜宮城へ行けるかなと、下衆な思いが浮かび、「助けた亀に連れられて〜♪」と、鼻歌がでてきてしてしまうところが、(すでに亀に連れられ竜宮城に来ていることも知らずに)なんとも我が未熟さの乗りのいいところであります。

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このページは、三休が2012年5月29日 07:16に書いた記事です。

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