政経分離

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IMG_0396.jpeg      (瀋陽に進出したヤマダ電気ビル)
 尖閣諸島をめぐる反日暴動により、日本の商品不買運動、日本車の焼き討ち、日系企業の襲撃が起き、日本企業はすぐに撤退すべき論、反日暴動で日中どちらがより損益を被るか、株価や
GDPにどう影響するか。私はこうした経済指数から日中関係を見て行くことに違和感を持っています。一方、政治的に見て今こそ中国を切り離す時であり、居残る日系企業を売国奴あつかいする偏狭な愛国判断にも組みしない。
 私はここらで政治は政治、経済は経済と明確に分離させることがよいと考えています。経済活動は市場の原理で動くもので、もとより需要と供給に採算が合えば、民族も国境もないグローバルなものです。しかし、そこに政治や利権が介入してくると複雑になり、おかしなものになってきます。そのよい例が経済人として実績を持ち優秀な経営者が、中国大使として政治と癒着したことで図らずも売国奴視されて晩節を汚してしまいました。
 経済活動の方が政治より遥か先行してしまい、それに各国の政治が追いついていないことに問題が生じています。では、日中の経済を切り離せるかといいますと、中国は34年前から経済開放政策を押し進め、更にWTO締結で発展を加速させ、日中経済の相互依存がかなり進み、もう戻る事はできない所まで来ています。皮肉なことに今回の反日暴動から相互依存の深さを知らされましたが、挙げた拳を降ろせない状態になっています。
 また、これは日中経済だけでなく、中国がすでに世界経済の枠組みに深く組み込まれてまして、日本系のメーカー、スーパー、量販チェーン店の進出だけでなく、欧米企業も同じ様に進出しています。都市部の街並には世界のブランド店が並び、一見するとここはどこの国かと思えるほどです。
 暴動で焼き討ちされた日本車は中国生産だし、それを報道するカメラはキャノンやソニーであり、ニュースを受けるテレビやコンピューター、携帯電話はサムソンであったり、大半は台湾部品メーカーの中国製です。香港系のドラッグストアーを覗けば、日本と同じ様に各国の商品が入り乱れて多国籍商品店になっています。

 食は中国に在りで、KFCやマクドナルドは各通りに在り、回転寿司、ラーメン店、吉野家、笑笑の居酒屋まであります。マクドナルドのポイントの一番の目玉商品は中国生産のハローキティーです。
キティーには口がなく何語を話すかわかりませんが、日米中が共存しています。
 中国の友人はこうした情況を喩えて、清朝末期に八カ国連合軍が植民地侵略して義和団の乱となったが、今は八カ国連合軍の経済侵略による反日義和団だと言ってました。
 では、ルビコンを渡った日本経済はこれからどのような対策をすればよいのでしょうか。これまで言われてきた「政冷経熱」、「政冷経冷」の奪取でなく、新たな「政政経経」の政経分離かと考ます。
 政治外交では日米同盟を強固なものにし、安全保障を強化させ尖閣諸島には一歩の妥協の余地ない断固とした対中外交の推進です。

 経済にはできるだけ政治を差し挟むことなく、市場の原理にしたがい各企業に経営の自助努力に任せること。企業は自社責任のもとに中国リスクをカバーしてでもなお採算が合うようなら留まり、なければ撤退するか他の国に移転するか判断すればよいわけです。別に中国だけが全てではないわけですから、経営数字で判断すればよいことです。
 いったいこんな都合のいいように行くのかと思われるでしょうが、台湾はすでにそれを67年間もやってきています。台湾海峡を挟んで対峙し、中国は「台湾解放」、台湾は「大陸反攻」で、つい最近まで大砲を打ち合っていました。そうした反面で、民間の経済交流を平然と行い、政経分離で現状維持を保っています。台湾は現状維持を保ちながら中国の民主化、あるいは内部分裂を待っています。双方が我慢比べしながら時を持っています。日本は台湾のしたたかな政経分離を学ぶ時かと考えます。

IMG_0315.jpeg (上記の写真は瀋陽のメイン通りにある伊勢丹、向かいに吉野屋とマックナルド、KFC)


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このページは、三休が2012年10月30日 05:29に書いた記事です。

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