最近出逢った言葉に「文明は腹の足しに、文化は心の足しに」とありまして、一言でうまい事をいうな〜と感心してしまった。
司馬遼太郎氏は「文明はだれもが参加できる普遍的なもの、合理的なもの、機能的なものに対し、文化はむしろ不合理なもの、特定な集団(民族)においてのみ通用する特殊なもので、他に及ぼしがたい」(アメリカ素描)と定義しています。
今日は心の足しになる文化について書いてみたい。文化のことですので「東洋」とし、政治的用語の「アジア」と分けました。
45年ぶりに岡倉天心著「東洋の理想」、「日本の目覚め」、「東洋の目覚め」、「茶の本」を、文庫本で集中して読み返してみました。
学生時代ある研究所のゼミナールで、同学とこれらの著書を教材に輪読した後、恩師が解釈してくれたのですが、ほとんど憶えていませんでした。学生が輪読していたある箇所にくると、恩師が感極まって嗚咽したことがありました。私がまったく何も感じない文章に恩師が感極まるとは、己の詩情なき鈍感さに大きな衝撃を受けて3日間の断食をした事をよく憶えていました。
当時この東洋文化・美術論の名著をどれだけ理解できたのか、はなはだ心細いかぎりです。それでも「アジアは一つである」、「多様性の中に統一を求める」、「偉大なる芸術とは、その前でわれわれが死にたいと願うところのものである」、「西洋の栄光は東洋の屈辱である!」、「東洋の内からの勝利か、それとも外からの強大な死か」、「いざ、東洋の精神に還れ!」という、煽動的な文章が鮮明に甦ってきました。
本書は西洋と東洋文化の悔悟を天意とみなし、日本文化のルネサンス(復興)を、祈求し実践をうながした内容です。言霊とはすごい力でして、私はこれらの言葉を若い霊性で捉えていたようです。そして今頃になってこの霊性が私の思想の原点だったことに気がつきました。多くの科学者や数学者は若い時に着想した閃きを、一生の研究課題にするようですが、私も文化思想面で「近代の超克」の着想が、一生の課題だったようです。先のカンボジア旅行の呑めり込みが、私を再び東洋への回帰を促したようです。
東洋への回帰
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