天才

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Tanak.jpeg 帰郷のおり友人から著書「天才」をいただき読んでみました。友人からいただかなければ「ときめき」のないままパスした書物です。
 石原慎太郎+田中角栄+天才+幻冬舎+団塊世代にご用達、これだけブランドがそろえば20万部突破のベストセラー確実。石原さん+幻冬舎さんが、また見え見えにやってくれました。
 内容にたいして目新しいものはないが、石原氏が一人称で田中角栄に憑依して書いた出版企画は巧い、さすが幻冬舎。石原氏は文学では三島由起夫の天才に及ばず、政治では田中角栄の天才に及ばなかったが、私は20歳から今も一貫して石原支持者ですが、この著書はなにを今さらの不必要な贖罪懐古録でした。
 石原氏はマスコミで田中角栄の金権政治に最初に批判した新鋭政治家で、私はそれに喝采を送りました。それをぶれずに棺桶まで突っぱねてほしかった。田中角栄は確かに政治的天才で、田中の後に田中なしです。同時に金を麻薬の如くにまき散らした金権政治の権化でした。田中のような叩き上げ天才大物政治家はこれからは現われないと思う。出てもせいぜい愛弟子だった小沢一郎程度です。
 首相就任当時はコンピュータ付きブルドーザーの「今太閤」として、メディアでわんやともてはやされ、国民一億総「田中万歳」でした。しかし、私はその頃から田中角栄は危険人物と見ていました。(もう時効なので書きますが)私が一生に一度だけ高崎線の下り電車の中で、真剣に暗殺を思いつめた人物でした。
 田中角栄がもしあのまま怖い者なしで突き進めば独裁者に通じてきました。ただ日本国民の農耕遺伝子は超強力なリーダーを好まないようですぐに潰されました。そこにはアメリカが彼を危険視して潰したのですが、同時に国民も一緒になって彼を潰しました。政治の世界は非情なもので、私はそれでいい思い、本を売らんがため今さら贖罪や懐古など必要ないと考えています。ここは農耕遺伝子らしく、過去は水に流して鎮魂し、そしてまた田植えです。

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このページは、三休が2016年4月23日 23:15に書いた記事です。

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