中国大停滞

| コメント(0) | トラックバック(0)

IMG_2780.jpeg 昨年からアメリカのパンダハガーと称する親中派が、中国に裏切られたとして距離を置くようになりました。アメリカの対中政策に誤りがあったと次々に軌道修正に入りました。中国利権の大御所ヘンリー・キッシンジャーさえ「米中G2論」から腰が引けました。
 かくして日本のパンダハガーもこれに遅れてはならじと、元21世紀政策研究所理事長、経済学者の田中直毅著「中国大停滞」ー中国は長い冬に突入するーが出版になりました。どちらかというとパンダハガー寄りで2002年に「中国が日本を超える日」を出版した同じ日本経済新聞社が、「著者40年近い中国観察を元に渾身の書き下ろし」とお墨付きでアメリカに右へ習いしています。「君著は豹変す」で、日米のパンダハガーが何を今さらなのですが、これで日本も中国経済の現状を総括して引導をわたしたことになります。
 本「中国大停滞」は、中国がなぜ大停滞に向かうのか、政治、経済、社会、歴史、外交、環境汚染等の累積した問題を、広く深く掘り下げて整理しています。奥歯に物が挟まったような言い方ですが、柔に問題点を直言しています。同じ問題点を指摘するにも、こうした品のよい巧妙な論法を使うとは、いい勉強になりました。さすが田中直毅氏で知中派からの貴重な警告書になっています。
 私はこれまで「中国大崩壊論」に与していませんが、私の文化大革命以来「50年近い中国観察を元に渾身の直感」で、本書「中国大停滞」と同じ捉え方をしてきました。そして、崩壊でなくこのまま大停滞をして行くことが、中国にも近隣諸国しいては世界にもほどよいと秘かに考えています。たぶんそうなって行くでしょう。
 前にここで紹介しました、「中国4.0」エドワード・ルトワック著にもありましたが、中国は過去30年の高度成長の成功体験に舞い上って方向を誤った結果、国内の政治改革、経済対策、外交方針、環境汚染等の問題が山積み、大きな壁となり行き詰ってしまいました。
 ここらで無理あがきをせず「中国5.0」として、当分は頭を冷やして足下の諸問題を改革してゆくことが必要になっています。
 奇しくも同3月下旬に出版になった2冊の中国論が、今後の中国を予測するうえで貴重な参考書になりました。

トラックバック(0)

トラックバックURL: https://www.tempu-online.com/mt/mt-tb.cgi/106

コメントする

月別 アーカイブ

この記事について

このページは、三休が2016年5月 2日 00:00に書いた記事です。

ひとつ前の記事は「サライの空へ」です。

次の記事は「中国大停滞(2)」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。