踏み絵

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250px-Jesus_on_cross_to_step_on.jpg 今日17日にタイワンで映画「サイレンス」が封切りになりました。どんな反響になるのか興味深いです。
 この映画はチャイナでは上映禁止になると思います。今どき信じられませんがチャイナはいまだに宗教を邪教アヘンとして公式に禁止しています。2014年11月のバチカンの発表で、チャイナのキリスト教徒は1億人に達したとしていますが、多くは地下教会の潜在信徒になっています。チャイナの独自調査では、キリスト教徒の数は2300万から4000万人、総人口の2〜3%としています。そして最近になっても信徒への弾圧が続き、地下教会が摘発されたり教会が取り壊しになっています。
 いわば「踏み絵」の現代版ですが、中国人はあの世の幸より現世利益を重視しますので、ためらうことなく踏みます。こんな事で命と引き換えなどアホらしいと、目の前のご飯一膳で転びます。「先吃飽再吧(まず食べてから考えよう)」で、キチジローのような精神的に葛藤をする弱き者でなく平然としています。この強靭なしたたかさで度重なる動乱と飢餓を生き抜いてきました。彼らにとりたかが板上の「踏み絵」で、心の純度がわかりません。ですから「踏み絵」は、日本の特殊な信仰形態かと思います。日本人の心の純度です。
 ヨーロッパの多くの教会の地下洞には、その教会にまつわる聖人の棺が置かれています。なかには床が硝子張りになっていて棺が透けて見えると教会もあります。西洋の人はその上を平気で歩いていますが、私はどうも気がとがめて踏まぬように端を歩くようにしています。この時にいつも精霊に対する文化の違いを思い知らされます。
 スコセッシ監督はイタリアのシシリア生まれ、敬虔なカソリック教徒で、小さい時に神父になろうと夢見て挫折した人ですから、「踏み絵」の特殊性がわかりますが、果たしてこの映画が日本以外の地で、どこまで理解され共感を得られるのか興味をもって見ているところです。日本人の心の純度が理解されるのだろうか。

 「踏み絵」の蛇足として;
 火付け盗賊改めの長谷川平蔵がいつものように両国橋のたもとを歩いていると、一日の仕事を終えたであろう隠れキリシタンおぼしき女が、足早に平蔵の脇を通り抜けます。そのすれ違いざま女の横顔をちらっと覗き「あ、お前は、ふみえ」。

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このページは、三休が2017年2月17日 05:21に書いた記事です。

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