アテネにて

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DSC05753.jpeg   「ギリシャは東洋の永遠の敵である。
      しかし、またしても心ひかれる」(芥川龍之介)
                      
 私はヨーロッパを見るとき欧州連合(EU)の政治や経済面としてではなく、西洋という文化的な見方をしてしまう。
 日本の戦前の教養人と戦後の知識人とを仕分けしますと、前者は西洋文化の素養を背骨とし、後者はアメリカナイズとなります。アメリカナイズされて育った私は、ヨーロッパを旅すると、その文化と知性の重厚さに溜め息が漏れ、その反動としてたまらなく日本文化が恋しくなっています。
 ギリシャ神話に馴染めず、ギリシャ彫刻に違和感を感じ、石材建築も好みに合わないのだが、高さ70メートルほどの古代ギリシャの聖域・アクロポリスを見上げると紀元前5世紀のパルテノン神殿、エレクティオン神殿の石柱の重みに圧倒されてしまう。そして西洋文化と東洋文化の違いに立ち眩らみ、気付け薬として岡倉天心の「東洋の覚醒」などを読み返したりしています。
 今回はどうしたことか学生時代に読んだ天才数学者の岡潔氏の著書を無性に読みたくなり「春宵十話」「春風夏雨」「日本のこころ」「情緒と日本人」を取り寄せて熟読しています。かつて初版を貪り読んだ若さと違い、私も岡潔氏が著した頃の齢となったためか、氏のもつ文化の香り、素養と憂国が、静かに心に染み入ってくるようになっていました。
 2015年は岡潔氏の著書で締めようと決めました。

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このページは、三休が2015年12月12日 00:10に書いた記事です。

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